簿記

このページでは、簿記の勉強で学んだことを書いていく。 今3級チャレンジ中なので、3級の内容がほとんど。

簿記は企業の取引、活動を帳簿に記入する際の記述ルールである。 企業では、仕入れ、生産、販売、給料支払いなどの日常業務でお金などが動く際に逐次帳簿をつけなければならないが、その帳簿を記述するルールが簿記である。

また、決算の際には、B/SとP/L statementを作成するため帳簿の内容を整理する必要があり、簿記はその整理のルールについても定めている。

帳簿の作成は、価値の流れを把握することが目的であるが、簿記における価値とは、資産負債純資産の3つである。

また、価値が増減する要因として、費用収益が挙げられる。

以上より、以下の5つを簿記の5要素と呼ぶ。

  • 資産
  • 負債
  • 純資産
  • 費用
  • 収益

1つの価値の流れは仕訳と呼ばれる形で表現される。 帳簿とは仕訳の集合である。 簿記では、仕訳を記述するための記法と作法を定義する。

簿記における標準的な記法である複式簿記において、仕訳は以下の3つの要素を持つ。 勘定科目とは5要素の具体的な内容を説明する言葉であり、何に対してどの言葉を使うかについても簿記の記法として定められている。簿記の勘定科目一覧

  • 日付:価値が動いた日付
  • 摘要:説明(簿記では記法は決まっていないので自由記述)
  • 借方:1つ以上の[勘定科目と金額]
  • 貸方:1つ以上の[勘定科目と金額]

複式簿記の仕訳において、次のことが守られていなければならない。

  • 借方には、資産の増加、費用の増加、負債の減少、純資産の減少、収益の減少が記述される
  • 貸方には、資産の減少、費用の減少、負債の増加、純資産の増加、収益の増加が記述される
  • 借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致する

以下に複式簿記で記述された帳簿の例を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
06/30普通預金から100000円引き出し現金100000普通預金100100
支払い手数料100
07/01PCを買い替えた備品100000現金100000

企業では、毎年1回、決算を行う。 決算とは、決算時点の会社のパフォーマンスや保有資産額を株主へ公表するために、年間の仕訳を集計する作業である。

決算を行う日を決算日と呼び、決算の対象となる期間の「初日、初日〜最終日、最終日」をそれぞれ「期初、期中、期末」と呼ぶ。 通常の日本企業では、決算日は4月1日であり、この場合、期初は4月1日、期中は4月1日から翌年3月31日、期末は翌年3月31日である。 。決算の具体的なアウトプットは、次の2つであり、これらをまとめて財務諸表と呼ばれる。

  • 貸借対照表 (B/S = Balance Sheet)
  • 損益計算書 (Profit & Loss statement = P/L statement)

貸借対照表は、決算時点に会社が保有する資産、負債、純資産の総額をまとめたものである。 貸借対照表は決算時点における会社の価値を示す。

損益計算書は、期中における費用、収益の総額をまとめたものである。 損益計算書は期中の会社のパフォーマンスを表す。

以上のアウトプットを作成するため、期末に決算整理仕訳を作成することがある。 なお、本ページでは決算整理仕訳の作成については解説するが、貸借対照表や損益計算書の書き方については述べない。

仕訳を作成する際には、通常次の手順を踏む。

  1. 仕訳作成の対象となる企業活動について、5要素の増減に着目して、当てはまる勘定科目を全て導く
  2. 導いた勘定科目を借方貸方に分類する
  3. 借方貸方の合計額が一致することを確認する

以下のものは「現金」という勘定科目に分類される。

  • 手元にある現物の現金(預金などを除く)
  • すぐにお金に換金できるもの(配当金領収書や郵便為替証書などの通貨代用証券)

現金過不足

帳簿をつける際に、帳簿上の現金と実際に手元にある現金との間で過不足が生じた場合は、勘定科目「現金過不足」を用いて、過不足を解消する。 ただし、過不足の原因が判明した際は、勘定科目「現金過不足」を解消する仕訳を作成する。

現金過不足の場合の仕訳例を以下に示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01帳簿上では200円あるはずが、手元の現金が100円しかないので差額を埋める現金過不足100現金100
07/02備品購入の仕訳を作り忘れていたことが判明したので、現金過不足を解消備品100現金化不足100

小口現金

交通費などの細かい支出に対していちいち仕訳を作成するのは面倒なため、多くの企業では、ある程度の支出が溜まってから仕訳をまとめて作成するインプレストシステムを採用している。 この仕組みでは、各部の用度係に現金を渡し、定期的にお金の使途を用度係から経理部へ報告することで一気に仕訳を作成している。

経理部から各部用度係へ渡される現金を小口現金と呼び、この現金の移動を、勘定科目「小口現金」を用いて仕訳する。

小口現金の仕訳例を以下に示す。 7/3と7/5の仕訳は、用度係から報告を受けた時にまとめて作られたものであることに留意されたい。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01営業部へ小口現金を渡す小口現金100000現金100000
07/03営業部が交通費として100円使った旅費交通費100小口現金100
07/05営業部が交通費として100円使った旅費交通費100小口現金100
07/08営業部へ小口現金を補充する小口現金200現金200

預金に区別される勘定科目には以下のものがある。

  • 当座預金
  • 普通預金
  • 定期預金

複数の銀行に同種の口座を持っている場合は、勘定科目に銀行名を付加する。(例:当座預金 ほずみ銀行, 普通預金 ゆちょ銀行

当座預金とは、小切手を利用するために必要な銀行口座。 開設前に審査があり、一般個人が作成することは難しい。

小切手とは、有価証券の1つであり、現金を介さずにスムーズに任意の額を受け渡すことができる。 AさんからBさんへ1000円を支払う場合の流れを以下に示す。

  1. Aさんが小切手に1000円を記入し、小切手をBさんへ渡す (小切手を振り出す)
  2. Bさんは、受け取った小切手を銀行へ持って行く
  3. 銀行は、Bさんから受け取った小切手と引き換えに、Aさんの当座預金から引き落とした1000円を、Bさんへ支払う

また、銀行と当座借越契約を結んでいる場合、当座預金の残高を超える額の小切手を振り出すことができる。 仕訳は通常の小切手と同様の形になるが、期末時点で借越残高が残っている場合は、決算整理仕訳を作成する必要がある。(決算整理仕訳の章で解説)

預金の出入/利息

勘定科目について、出入に伴う手数料は支払手数料、受け取った利息は受取利息とする。

預金口座の操作と利息の受け取りに関する仕訳を以下に示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/011000円を普通預金へ預け入れる(手数料100円)普通預金1000現金1100
支払手数料100
07/031000円を普通預金から引き出す(手数料100円)現金1000普通預金1100
支払手数料100
07/051000円を普通預金から当座預金へ振り替える当座預金1000普通預金1000
07/08普通預金に利息が発生する普通預金100受取利息100

小切手の振り出し/受け取り

小切手を振り出した時は、振り出した時点で当座預金の資金が減少したものとみなす。

また、小切手を受け取った側は、小切手を振り出した人が誰かによって、以下のように勘定科目が変わる。

  • 自分振出の小切手の場合: 勘定科目は当座預金
  • 他人振出の小切手の場合: 勘定科目は現金

小切手を振り出し/受け取り時の仕訳例を以下に示す。 代金として受け取ったものが小切手であっても、他人振り出しのものであれば、勘定科目を現金とすることに注意する。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/0110万円のオフィスチェアを小切手で購入する備品100000当座預金100000
07/03売り物であるパソコンが売れた(支払いは他人振出小切手)現金200000売上200000
07/05売り物であるパソコンが売れた(支払いは7/1に振り出した自分振出小切手)当座預金100000売上100000

簿記において売買取引の記法には分記法と三分法の2種類がある。 どちらの記法を使うかは、通常、以下のように選択される。

  • 簿記を記録する主体にとって、取引対象が商品である場合: 三分法
  • 簿記を記録する主体にとって、取引対象が商品でない場合: 分記法

また、ツケ払いとした場合の勘定科目は、記法には関係なく取引対象が商品か否かによって、以下のマトリックスの通りに決定される。

商品を商品以外を
買ったとき買掛金」(負債)未払金」(負債)
売ったとき売掛金」(資産=債権)未収入金」(資産=債権)

会社によっては取引対象の性質に関わらず分記法を用いる場合があるが、2024/08/04時点の簿記3級においては、分記法による商品取引は範囲外である。

三分法

三分法において、売買取引の勘定科目は以下の通りとなる。 三分法は商品の取引に対してのみ用いられる。

  • 商品を買ったとき: 「仕入」(費用)
  • 商品を売ったとき: 「売上」(収益)

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。 文房具屋にとって鉛筆は商品であるため、鉛筆を対象とする売買取引は三分法で記述する。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆100本を単価10円で仕入れた(一部ツケ払い)仕入1000買掛金200
現金800
07/03鉛筆50本を単価20円で売った(一部ツケ払い)現金900売上1000
売掛金100
07/03鉛筆50本を単価25円で売った(全額現金払い)現金1250売上1250

仕入、売上に伴って発生する諸費用の扱いについて以下のマトリックスに示す。

本来支払うべき主体
買主売主
実際に支払った主体買主パターン\(A\)パターン\(B\)
売主パターン\(C\)パターン\(D\)

パターン\(A\)について、買主負担の諸費用を買主が支払った場合は、勘定科目「仕入」に合算する。 簿記には、仕入にかかった費用は全て商品原価に充てるという考え方があるためである。 (仕入に伴って発生する運送費などの諸費用は、付随費用仕入諸掛などと呼ばれる。)

パターン\(D\)について、売主負担の諸費用を売主が支払った場合は、売上には合算せず、勘定科目「発送費」(費用)を用いる。

パターン\(B\)について、売主負担の諸費用を買主が支払った場合は、以下の2通りの仕訳方法がある。(どちらでも構わない)

  • 買主の債権の増加を、勘定科目「立替金」として仕入の仕訳に追加する
  • 買掛金を、運送費分減額する

パターン\(C\)について、買主負担の諸費用を売主が支払った場合は、簿記3級の範囲外のため割愛。

分記法

分記法は、商品の売買取引にも使われることがあるが、その場合の勘定科目は以下の通りとなる。

  • 商品を買ったとき: 「商品」(資産)
  • 商品を売ったとき: 「商品」(資産)と「商品売買益」(収益)

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。 ただし商品取引については分記法で記述している。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆100本を単価10円で仕入れた(一部ツケ払い)商品1000買掛金200
現金800
07/03鉛筆50本を単価20円で売った(一部ツケ払い)現金900商品500
売掛金100商品売買益500
07/03鉛筆50本を単価25円で売った(全額現金払い)現金1250商品500
商品売買益750

分記法は仕訳ごとに商品の仕入れ値を求める必要があり、実務的ではないため、商品の売買取引については三分法を用いることが主流となっている。

仕入れ値の求め方には、先入先出法と移動平均法の2種類がある。どちらも計算が面倒くさい。

先入先出法は、商品Aの原価を、既存の在庫のうち最も古い在庫を仕入れた時の単価を商品Aの原価とする方法である。 ただし、商品は古いものから売るものとし、商品を1つずつ在庫から取り出しながら原価の算出を行う。

移動平均法は、商品Aの原価を、在庫の商品の1つ1つの平均仕入れ値とする方法である。

返品

売買取引が成立したものについて、返品が行われた場合、もとの売買取引の逆仕訳を作成する。

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。 文房具屋にとって鉛筆は商品であるため、鉛筆を対象とする売買取引は三分法で記述する。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆100本を単価10円で仕入れた(一部ツケ払い)仕入1000買掛金200
現金800
07/03触れただけで折れたので返品した現金800仕入1000
買掛金200

前払金と前受金

売買取引の中では、代金の一部または全てを予め支払っておくケースがあり、このときに支払われた代金を内金手付金と呼ぶ。

このようなケースについて、以下に示す勘定科目を用いる。 また、売買取引が完了し、仕入/売上の仕訳を作成する際には、これらの勘定科目を含める。

  • 内金や手付金を支払ったとき: 「前払金」(資産=債権)
  • 内金や手付金を受け取ったとき: 「前受金」(負債)

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。 文房具屋にとって鉛筆は商品であるため、鉛筆を対象とする売買取引は三分法で記述する。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01A社に手付金を小切手で払った前払金100当座預金100
07/03A社から鉛筆100本を単価10円で仕入れた(一部ツケ払い)商品1000買掛金200
現金700
前払金100
07/05B社に手付金を小切手で受け取った現金100前受金100
07/03B社から鉛筆100本を単価15円で売った(一部ツケ払い)現金1000売上1500
売掛金400
前受金100

クレジットカード

売買取引において支払いがクレジットカードで行われた場合、勘定科目は「クレジット売掛金」または「クレジット買掛金」となる。 売手が支払うクレジットカード会社への取扱手数料について、その勘定科目は「支払手数料」とする。

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆10本を単価20円で売った(クレカ支払い,クレジット取扱手数料2%)クレジット売掛金196売上200
支払手数料4

手形は、小切手と同様に代金支払いや借用証書代わりに使われるもので、その実体は支払い期日、支払い額などが記載された紙である。 手形は当座預金でのみ利用できる。 二者間で使われる約束手形と三者間で使われる為替手形があるが、3級では約束手形のみ扱う。

約束手形を作成して支払う側を振出人、約束手形を受け取る側を名宛人と呼ぶ。

手形を用いた売買取引

約束手形を用いた売買取引の流れは以下の通りである。

  1. 振出人が手形を、名宛人が商品を、互いに相手へ渡す (仕訳1発生)
  2. 名宛人は銀行に手形を持って行き、取立て依頼を行う
  3. 手形に記載された期日に、銀行が振出人の口座から名宛人の口座へ資金移動する (仕訳2発生)

仕訳1では、勘定科目について、売掛金、買掛金の代わりに「受取手形」、「支払手形」を用いる。 また、仕訳2では、その仕訳は受取手形(債権)または支払手形(負債)を当座預金で打ち消すものとなる。

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆10本を単価20円で仕入れた仕入200支払手形200
07/31手形が決済された支払手形200当座預金200
08/01ノート3冊を単価30円で売った受取手形90売上90
08/31手形が決済された当座預金90受取手形90

実務において手形は、通常、買掛金の支払いの先延ばしに使われる。 例) 買掛金で購入→x日後に買掛金を手形で支払い→手形の期日に手形を決済

手形を用いた金銭の貸借

手形を借用書として、お金の貸し借りをした場合、勘定科目には「手形借入金」または「手形貸付金」を用いる。

とある文房具屋の、商品の売買に関する仕訳を以下に示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/0110万円借りた現金100000手形借入金100000
07/3110万円返した手形借入金100000当座預金100000
08/0120万円貸した手形貸付金200000現金200000
08/3120万円返された当座預金200000手形貸付金200000

手形以外のもの(口約束、覚書、証書)を借用書として利用した場合、勘定科目には単に「借入金」または「貸付金」を用いる。

電子記録債権の場合

紙の手形の代替として電子記録債権を用いた場合、勘定科目には「電子記録債権」または「電子記録債務」を用いる。

固定資産とは、会社が長期に渡り保有する資産であり、3級で扱う有形固定資産の例として以下が挙げられる。

  • 土地
  • 建物
  • 備品
  • 自動車
  • 機械設備
  • など。。。

これらは資産であり、仕訳時にも現金などの資産と同等に扱われる。 ただし、固定資産は商品ではないため、売買の仕訳については分記法で記述しなければならない。

固定資産の売買取引の例を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
06/30土地を購入土地1000000現金1000000
12/01土地を売却現金1100000土地1000000
固定資産売却益100000

経費の例を勘定科目と合わせて下表に示す。

勘定科目
事務所の電気代水道光熱費
事務所の家賃支払家賃
入会しているクラブの会費諸会費
従業員が立て替えた交通費の支払い旅費交通費
事務所の火災保険の料金支払保険料
事務所で使う筆記用具などの消耗品の購入費用消耗品費
収入印紙など、経費として処理する税金の支払租税公課

理論的には、筆記用具は費用ではなく資産として扱われるべきだが、資産として扱うと減価償却など色々面倒くさくなってしまう。 そのため実務では多くの場合筆記用具のような消耗品などは費用として処理される。 ただし、切手などの換金性の高いものに関しては決算整理仕訳で資産へ換算する処理が行われる。(後述)

簿記試験では級に依らず全ての場合において、消耗品を費用として扱う。

収入印紙とは、切手のようなものであり、一定の条件を満たした領収書や契約書などに貼付する義務が印紙税法により定められている。 なお、収入印紙の購入は、それを貼付する書類の作成に対する税金=印紙税を支払うことを意味する。

商品券を使った支払い時には、「商品券の発行者、商品券を使う消費者、商品を販売する商店」の3者が、以下のような流れで取引を行う。

  1. 発行者と消費者とが売買を行い、発行者が代金、消費者が商品券を受け取る
  2. 消費者と商店とが売買を行い、消費者が商品、商店が商品券を受け取る
  3. 商店と発行者とが換金を行い、商店が代金、発行者が商品券を受け取る

商店が消費者から受け取った商品券の勘定科目は「受取商品券」(資産)である。

以下にとある文房具屋の仕訳の例を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01鉛筆を売った (商品券で支払い)受取商品券10売上10
07/02商品券を換金した普通預金10受取商品券10

お金を貸した時は、資産の勘定科目「貸付金」を用いて、お金を借りた時は、負債の勘定科目「借入金」を用いる。 ただし、借用証書が手形である場合、勘定科目は「手形貸付金」と「手形借入金」となることに留意する。

また、役員、従業員に対してお金を貸し付けた場合、勘定科目は「役員貸付金」「従業員貸付金」となる。

以下に仕訳の例を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/01口約束で100万円借りた現金1000000借入金1000000
07/02利息10万円とともに100万円を返した借入金1000000現金1100000
支払利息100000
07/03口約束で10万円貸した貸付金100000現金100000
07/04利息1万円とともに10万円が返済された現金110000貸付金100000
受取利息10000

闇金の帳簿でしょうか。。。

従業員に対する給与を支払う際には、以下のような費用についても考慮した上で仕訳を作成しなければならない。

  • 社会保険料
    • 健康保険料
    • 厚生年金保険料
    • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

これらの費用は、企業が、源泉徴収として給与から差し引いておき、翌月に税務署などへ納付する。 このとき、差し引きから納付までの間は、差し引いた額は企業にとって納付先への負債となる。

給与の支払いと納付

給与は企業にとって費用であるため、支払いの仕訳には勘定科目「給料」(費用)を用いる。 また、源泉徴収として差し引いた額の勘定科目は、「社会保険料預り金」「所得税預り金」とする。 加えて、社会保険料は従業員と会社で折半して支払うものであるため、会社負担分については、勘定科目「法定福利費」とする。

以下に7月の給与支払いと税金等の納付との仕訳を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
04/25給料を支払う給料200000当座預金160000
所得税預り金20000
社会保険料預り金20000
05/10預り金を納付する所得税預かり金20000当座預金60000
社会保険料預り金20000
法定福利費20000

雇用保険料の年度更新

雇用保険料は、企業と従業員が折半して支払うものである。 通常企業の方が負担額が大きい。

企業は、6月1日~7月上旬の間に年に1度だけ、全従業員のその年度分の雇用保険料の算出と納付を行う。 この作業を年度更新と呼ぶ。

年度更新によって、1年分の雇用保険料の納付は7月上旬に行われるが、このとき支払われる従業員負担分の拠出元は以下の通りとなる。

  • 4~6月分: 従業員の4~6月給与から源泉徴収した預り金
  • 7~3月分: 企業が従業員に対して立て替える (従業員の今後の7~3月給与から徴収する)

以上より、雇用保険料に関係する3つの勘定科目を以下に示す。

勘定科目分類負担者説明
法定福利費費用企業雇用保険料の企業負担分
社会保険料預り金負債従業員雇用保険料の従業員負担分のうち、従業員の4~6月給与から源泉徴収した分
従業員立替金資産従業員雇用保険料の従業員負担分のうち、企業が立て替えた分
7~3月分の給与を支払う際には、「従業員立替金」を減額していくことに留意する

以下に年度更新と7月給与支払いとの仕訳を示す。

日付摘要借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
07/05雇用保険料の支払い法定福利費100000当座預金140000
社会保険料預り金10000
従業員立替金30000
07/25給料を支払う給料200000当座預金160000
所得税預り金20000
社会保険料預り金10000
従業員立替金10000

使途が定まっていない支払いに対しては勘定科目「仮払金」が使われ、何の代金であるかが不明な入金に対しては勘定科目「仮受金」が使われる。 この場合、後から使途や経緯が判明した時に、仮払金・仮受金を打ち消す仕訳を作成する。

特に、ICカードにチャージしたときには、ICカードを仮払金という資産とみなして処理することが理論的に正しい仕訳となる。 ただし、簡単のためにICカードにチャージした時点で、チャージ額全額を旅費交通費として処理する場合もある

保証金とは、何らかの取引を行う際に預けておくお金であり、不動産貸借時に預ける敷金が例として挙げられる。 保証金を支払った場合、または、保証金が返還された場合は、勘定科目「差入保証金」(資産)を使う。

保証金が返還されない場合はどうなるのか?要調査

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